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プログラマーにセキュリティの知識が必要な理由は?

プログラマーがやっておきたいセキュリティ対策
近年、デジタル化が進む中での情報漏洩やサイバー攻撃の増加は社会問題となっています。このような背景から、プログラマーがセキュリティの知識を持つことは極めて重要とされています。しかし、具体的にどのような知識が求められ、それがなぜ重要となるのでしょうか。

プログラマーにセキュリティの知識が必要となる一番の理由は、セキュリティ脆弱性の防止が挙げられるでしょう。
デジタル化が進む現代社会で、多くのアプリケーションやシステムが存在しますが、その中には脆弱性が存在するものも多くなっています。
まずはじめに、脆弱性が発生する理由を解説していきます。

脆弱性が発生する理由を解説

開発時の人為的ミスや設計ミス

ソフトウェアの開発過程では、人の手によるコーディングや設計ミスが不可避的に存在します。これにより、SQLインジェクションやクロスサイト・スクリプティングなどの攻撃に対して脆弱な部分が作り込まれるリスクが生まれます。さらに、ソフトウェアの設計や開発段階では想定していなかった新しい攻撃手法が生まれると、それが新たな脆弱性となることも。
完璧なプログラムは存在しないため、ソフトウェアは常に更新と保護が求められるのです。

悪意を持った内部関係者による情報流出

米国の犯罪学者クレッシーは、不正行為には「動機」「正当化」「機会」の三要素が必要と指摘しています。内部関係者は、すでにアクセス権を持つため、「機会」が生まれやすく、情報漏えいのリスクが高まります。リモートワークの増加や、適切な情報管理が行われていない環境では、このリスクはさらに増加するでしょう。
企業は、技術と意識の両面から、この「機会」を減少させる対策を進める必要があります。

プログラマーが行うべきセキュリティ対策
情報技術の急速な進化に伴ってセキュリティの重要性が増しています。特にプログラマーにとって、ソフトウェアやアプリケーションの開発においてセキュリティ対策を軽視することは、致命的なリスクを招く可能性があります。
プログラマーがセキュリティ対策を行う理由は、コンピューターシステムやソフトウェアアプリケーションを悪意ある攻撃やデータ漏洩から守るためです。
以下で、プログラマーがセキュリティを強化するための方法を紹介していきます。

ウイルス対策ソフトウェアを導入する

ウイルス対策ソフトウェアは、デジタル環境における最前線の防衛壁として働くツールです。コンピュータウイルスやその他の悪意のあるソフトウェア、フィッシング詐欺やスパイウェアなどの脅威から私たちのデータを保護する役割を果たしています。
特に、ウイルス対策ソフトウェアは「パターンマッチング法」と「ヒューリスティック法」を用いて、潜在的な脅威を検出し、駆除する能力を持っています。

このソフトウェアの核となるのは、更新される「パターンファイル」や「ウイルス検索エンジン」で、これによって新しく登場するウイルスや変種にも迅速に対応することができます。時代とともに、マルウェアはその侵入手段や攻撃方法を多様化させてきました。1990年代から2000年代初頭にかけては、マルウェアの種類や数が飛躍的に増加したため、対策ソフトもその進化に応じて機能を増やしてきました。

最新のウイルス対策ソフトウェアは、スパイウェアやランサムウェア、トロイの木馬などの多岐に渡る脅威からユーザーを守るための高度な機能を搭載しています。そして、これらのソフトウェアは、個人だけでなく、企業や組織のセキュリティを確保する上での重要な役割も果たしています。今後も、デジタルの進化とともに新たな脅威が登場するでしょうが、ウイルス対策ソフトウェアは私たちのデータとプライバシーを守るための盾として、常に進化し続けることでしょう。

ファイアウォール

ファイアウォール
ファイアウォールは、デジタル時代のゲートキーパーとも言えるセキュリティツールです。企業や個人のネットワークを、不正アクセスやウイルス感染のリスクから守る障壁として機能します。
具体的には、特定のデータパケットのみを許可するようなフィルタリングシステムを持っており、不審な通信や悪意のある侵入をブロックすることができます。これは、我々がインターネットを安心して利用するための重要な守護者としての役割を果たします。
現代のネットワーク環境では、外部の脅威は常に存在しているため、ファイアウォールはその脅威に立ち向かい、我々のデジタルな生活やビジネスを安全に保つための最初の防衛線となっているのです。
参考:ファイアウォールの仕組み 総務省

IPS

IPS(Intrusion Prevention System)はネットワークやサーバーのセキュリティを高めるための重要なツールです。このシステムは、通信を監視し、不正なアクセスの兆候を検知すると自動的にその通信を遮断します。具体的に、IPSはネットワークの入口やサーバーとインターネットの間に位置し、悪意のある攻撃者の試みを検知・防御することができます。
IDS(Intrusion Detection System)とは異なり、IPSは単に不正な通信を警告するだけでなく、積極的に問題のある通信を防ぐ役割を果たします。
IPSはファイアウォールと連携して動作することが多くなっています。
参考:IPSとは NTTコミュニケーションズ

WAF

WAF(Web Application Firewall)は、デジタルエコシステムでのデータの安全性を確保するための高度な防衛ラインとして機能します。これは、特定のWebサイトやWebアプリケーションを対象として、サイバー攻撃者による悪意ある試みからそれらを保護する専門のファイアウォールです。通常のファイアウォールが通信の流れに注目するのに対し、WAFはユーザーのリクエストやレスポンスに含まれる特定のパターンを探し、これが攻撃であると判断される場合にその動作を中止させます。
これにより、Eコマースの取引やオンラインバンキングのセッションなど、個人情報や貴重なデータの取り扱いが行われる場面でのリスクを大幅に減少させることができます。

日常的に行うべきセキュリティ対策

不審なメールは開かない

メールの安全性は、現代のデジタル時代において、日常的な警戒が求められる領域となっています。迷惑メールやスパムメールは、短い文章や魅力的な件名で私たちの注意を引き付けることが多いです。しかし、これらのメールの背後には、データを盗むための悪意あるリンクや添付ファイルが隠されていることが多くなっています。

添付ファイルやリンクをクリックすることで発生する危険性は多くの人に知られていると思いますがそれだけではなく、メール本文を開くだけでリスクを抱える場合もあります。HTML形式で書かれたメールは、ウェブページと同じように構築されており、それ自体がセキュリティの脅威となる可能性があるため、むやみに開封するのはやめましょう。古いメールソフトや、ブラウザで直接メールを開いたときのリスクも考慮しなければなりません。

また、スパムメールの「配信停止」のようなリンクは、本当に配信を停止するものではなく、逆にあなたがアクティブなユーザーであることを確認するための罠であることが多いです。確認作業の後、不審なメールは速やかに削除し、迷惑メールの自動削除機能を利用することで、うっかり開いてしまうリスクを減らすことができます。

不審なサイトへアクセスしない

インターネットは情報の海ですが、危険な罠も潜んでいます。特にフィッシングサイト、ワンクリックサイト、ウイルス感染サイトなどがユーザーの情報や金銭を狙っています。安全なネット生活を過ごすためには以下のような対策が求められます。

@HTTPS通信のサイトを選ぶ
重要な情報を扱う際は、アドレスバーに鍵のマークが表示されているHTTPSサイトを利用する。

A不審なメールのリンクをクリックしない
怪しい内容のメールや知らない送信者からのメールは無視する。

B最新のセキュリティソフトを活用する
セキュリティソフトは定期的に更新し、新しい脅威から身を守りましょう。

テレワークで意識すべきセキュリティ対策

フリーWi-Fiに接続しない

テレワークは時間や場所にとらわれずに仕事をすることが可能なため、カフェなど公共の場所で仕事をする人も増えてきています。しかし、そこで提供される無料のWi-Fiの中には、不正を目的とした危険なものも存在します。このリスクは、テレワーク中の接続において特に高まります。

提供元が不明瞭なWi-Fiや暗号化されていないWi-Fiへの接続は避け、SSIDの隣にある鍵マークの有無をチェックすることが必要です。自動接続機能はオフにし、ネットバンクやオンライン取引、個人情報を要求されるサイトへのアクセスは控えるべきです。危険なWi-Fiへの接続は、ログイン情報の漏洩や端末の遠隔操作、ウイルス感染のリスクを伴います。これらのリスクを最小限に抑えるために、VPNサービスの利用を強く推奨します。

SSIDやパスワードを初期設定のまま使用しない

Wi-Fiルーターを使用するとき、多くは初期設定で特定のSSIDとパスワードが割り当てられています。このSSIDは、周囲に発信される識別子で、多くの場合、メーカーや製品名を反映する形式をとっています。初期設定を変更せずに使用することで、外部の者がメーカーや製品を推測し、その情報を基にネットワークへの不正アクセスを試みるリスクが高まります。

特にテレワークの環境下では、無線LANルーターのセキュリティ設定を見直し、デフォルトのSSIDやパスワードは変更することが必須です。多くのルーターには、設定や接続に関する情報がラベルとして記載されているため、第三者による不正アクセスを防ぐには、これらの情報を変更しておく必要があります。

無線LANルーターの管理画面にアクセスするパスワードも、初期設定からの変更が推奨されます。変更しないと、悪意のある第三者が設定を変更し、ネットワークの安全性を損なう恐れがあります。結論として、テレワーク環境を安全に維持するためには、ルーターの初期設定をそのまま信用せず、適切なセキュリティ対策を講じることが不可欠です。

パスワードをデスクトップに保存しない

デジタルの進化により、多くの人々がエクセル、テキストエディターなどを使用してパスワードを保存・管理しています。この方法の利点は、複数のアカウントやパスワードを一元的に整理し、容易に更新や参照が可能であることです。しかし、デジタルの利便性に頼るあまり、セキュリティ面での危険性を軽視することは避けるべきです。

主なリスクとして、不適切な保存場所や明確なファイル名は、不正アクセスを招きやすくします。例えば、デスクトップに「パスワード」という名前で保存するのは避けるべきです。このような状況では、万が一デバイスが第三者の手に渡った場合、情報が簡単に閲覧されるリスクが高まります。

最も重要なのは、ファイルのセキュリティを確保すること。ZIPでのパスワード保護や暗号化を利用することで、情報へのアクセスを制限することができます。さらに、パソコンの故障や不慮の事故を考慮して、定期的なバックアップの実施も忘れてはいけません。

結論として、テレワーク環境下では、パスワード管理に関する習慣を再評価し、適切なセキュリティ対策を採用することが不可欠と言えます。


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