Zope Weekend 6 レポート
「Zope Weekend 6」 (2005/9/3 大久保・日本電子専門学校) レポート
文 : 桜井通開 (mojix.org / ブレイクビーンズ / 日本Zopeユーザ会)
写真 : 山本 烈 (Zope Japan / Plone研究会)、桜井通開

会場の大久保・日本電子専門学校 9号館メディアセンター(いつもお世話になっています)
「Zope Weekend」は、日本Zopeユーザ会が主催するZopeイベントです。2001年の第1回から数えて通算6回目になる今回の「Zope Weekend」では、次の4本の講演がありました(当日のプログラム)。
1) 「CMSクラッシュコース」
本多重夫さん(ricerco/日本Zopeユーザ会)
2) 「文際アートカレッジ週刊bAC」
永井孝さん(文際アートカレッジ/Plone研究会)
3) 「Zope3の紹介」
柏野雄太さん(Zope Japan)
4) 「PloneをSNS風味にカスタマイズ」
鈴木たかのりさん(CSK)
以下、各講演のかんたんなレポートです。
言い回しなどは多少変更していますので、ご了承ください。
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13:00に開会。JZUGイベントWGのjackさんによる開会のあいさつでスタート。

jackさんによる開会あいさつ
司会は、イベントWGの本多さん。

司会の本多さん
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講演1
「CMSクラッシュコース」
本多重夫さん(ricerco/日本Zopeユーザ会)
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最初の講演は、司会でもある本多重夫さんの「CMSクラッシュコース」。CMS(コンテンツ管理システム)とは何か、CMSを入れると何が変わるのか、導入のポイントなど、CMSの入門的な内容をお話しいただきました。「クラッシュコース」は「速習コース」の意味とのこと。
*CMSが注目される背景
1) Webサービスの成熟
製作が必要なページが増大。コンテンツの不整合。
2) WEB関連コストの増大
コスト管理がされていない。制作会社に丸投げのケースも。
3) WEBサービスの評価・見直し
単なる情報発信からの脱却。顧客・取引先との関係強化。タイムリーな情報公開の必要性。CSR(企業の社会的責任)。

本多重夫さん
*CMSで何が変わるのか
CMS以前は、マーケティング->広報->製作会社。
CMS以後は、マーケティングがCMSに直接、コンテンツを入れる。広報に承認申請。製作会社の役割は、デザインコンセプト、テンプレート供給になる。
社員の仕事は増える。担当者の啓蒙、トップの判断など、社内的な意思統一をはかる必要がある。
CMSに向くコンテンツ、向かないコンテンツもある。情報系サービスと、ブランドイメージ的なコンテンツの区別。
*Zopeの特徴
統合WEBアプリケーションプラットフォーム。マルチプラットフォーム。ブラウザで管理可能。CMS(Plone)、ブログ(COREBlog)など、豊富なプロダクト。Pythonベースで拡張可能。商用利用も可能なライセンス。
既存のWebサーバと、Zope環境はかなり違う。既存のWebサーバのコンテンツやRDBのデータがある場合も、mod_rewriteなどを使ってZopeを導入し、共存できる。
発表資料 : http://weblog.shigeo.net/images/zw6_cms.pdf
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講演2
事例紹介「文際アートカレッジ週刊bAC」
永井孝さん(文際アートカレッジ/Plone研究会)
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2番目は永井孝さん。永井さんが勤める「文際アートカレッジ」のWebマガジン、「週刊bAC」の事例紹介をしていただきました。

永井孝さん
文際アートカレッジは2000年4月にスタートした、海外の芸術大学への進学を目指す学生のための予備校(教育・留学サポートなど)。
Zopeは2002年から使用しており、一時離れていたが、このプロジェクトのためにまたZope / Ploneを使い始めた。
*開発スケジュール
2005/3中旬 週刊bAC企画
2005/3下旬 Ploneでの構築スタート 2週間程度で構築
2005/4上旬 内容運用スタート
2005/5中旬 一般公開スタート
*Ploneの選択理由
コンテンツ作成にHTMLの知識が不要。
ロールによるセキュリティ機能。
カスタマイズ可能なワークフロー。
豊富なプラグイン。
短期間で構築・運用が可能。(学校では、1週間程度でモックアップが作れる必要がある)
小規模から大規模まで構築可能。
商用のCMSに比べ比較的安く導入できる(MSのCMSサーバも検討した。Wordとも連携し、ワークフローもあるが、ハードとソフトで数百万になってしまう)
*運用体制
運用スタッフはライター、ディレクター、サイトマネージャー(永井)の3人。
*ワークフロー
従来の流れ:
編集室で企画・方針など 印刷物も作成 -> WEB担当者 テストサーバにアップし、確認してもらう OKなら公開
これで毎日のように上がってきても、対応できない。
他の業務もあるので、ボトルネックになる。
いまの流れ:
ディレクター・ライターで会議。
ライターが書き、承認ワークフローを経て、そのまま掲載できる。

ワークフローの解説
*運用の工夫
早く慣れてもらうために、職員ポータルサイトを設けて、その中に週刊bACを配置。ポータルもPloneで開発。
個人の活動報告、授業報告、募集イベント報告、写真の蓄積など。
ほっておくとやらない人もいるので、上司に相談し、評価に関連づけた(活動報告、コメント、ディスカッションなど)。
ここから情報を吸い上げて、週刊bACに使う。
*コンテンツタイプの開発
Archetypesによる開発。ひな形を自動作成する「ArchGenXML」がある。
UMLツールでモデリングし、XMIファイルをArchetypesソースに変換してくれる。
これを使って、コンテンツタイプ「bACEdit3」を自作した。3段組のレイアウトがカンタンにできるもの。bAC通信のドキュメントの製作を便利にするため。
1つのコンテンツに複数のWYSIWYGエディタを使える。
*今後について
学校のメインサイトもPlone化したい。
PloneとInDesignの連携もやってみたい。InDesignはXMLを使える。
以下、質問コーナーからのトピックの抜粋です。
*サーバについて
サーバはWindows。フロントにSquidを立てている。
*運用などについて
上層部の理解を得て、スタッフにコンテンツ提供を義務化した。紙の週報を廃止するかわりに、Webを使うことにした。Webならば、全スタッフが見れる。
*データの持ち方
画像もZODBに入れている。バックアップは、スケジュールタスクによって、別マシンにData.fsをコピー。
Zopeはメンテナンス性が高い。今日のこのプレゼンも、本番のデータからData.fsを自分のノートにコピーして、動かしている。
この他にも、日本語検索や、ユーザアカウントをRDBに入れて認証する方法、講演中に紹介されたArchGenXMLなどに関する、かなり具体的な質問が出ていました。会場にいる有識者も回答に飛び入り参加して、ていねいに回答していただきました。
なお、講演ではワークフローなども詳細にわたって解説していただきましたが、上記では省いています。以下の資料をごらんください。
発表資料
http://www.ngi644.net/net/blog/documents_pdf/plone_wbac_nagai_1.pdf
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講演3
「Zope X3とは さわりと現実」
柏野雄太さん(Zope Japan)
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3番目は、Zope Japanの柏野雄太さんによる、Zopeの新しいメジャーバージョン「Zope 3」の紹介。「Zope X3とは さわりと現実」と題して、Zope 3の概要説明と、実際どのように開発するかの「さわり」を解説していただきました。

柏野雄太さん
柏野さんはSIerでの8年の経験をへて、Zope Japanに入社。SIer時代からZopeを使っており、Zope 2.6あたりからやっていた。Zope Japanでは、Zope 3に力をいれている。
Zope 3はプログラマー志向の環境で、Pythonプログラマーのために作られている。Zope 2では「TTW(Through The Web ブラウザ上)」でスクリプトを書けたが、Zope 3は違う。コンポーネントアーキテクチャにより再利用性が高くなり、WindowsのCOMなどに近いところもある。インターフェイスを調べればよく、(Zope 2のように)コードの中身は読まなくてもいい。

Zope 3 操作画面
Zope 3はとてもよくテストされており、最初から国際化もされている。Zope 3では、現時点ではZope 2で開発したものが使えないが、いまバックワードコンパチ(後方互換)をしている最中。それはZope 3.3くらいになりそう。
以上のようなZope 3の概要説明のあと、実際にPythonコードやXMLの設定ファイルを書いて、あたらしいコンテンツタイプ「zopeWeekend」を目の前で開発。ちゃんとメニューに出てきたときは、「オオーッ」と会場から歓声が上がっていました。
Zope 3の機能には
- Metadata
- Adapter
- Utilities
- Containment
- Event Subscriber
- Workflow
- Online Help
- FTP / WebDAV / XML-RPC
- Test
などがある。Eventが採り入れられたので、より「WebのOS」に近づいた。
現時点で機能的に未実装で、これからなのは
- Indexed Search - Z2 Catalog
- Session : X3.1
- Workflow
- XMLプロセッシング
など。そしてZope 3ベースのECM(エンタープライズ・コンテンツ管理システム)パッケージを、http://www.z3lab.org/ で開発中。
Zope 3を学ぶ場合、いまのところ書籍が2つあり、Weitershausenの本は「とても教育的」、Richterの本は「トピック志向、網羅的」という違いがある。
Zope Japanでは、今年の11月にZope 3のトレーニングを開催予定で、今後もZope 3のニュースを積極的に発信していく。
質疑応答では、以下のようなやりとりがありました。
Q1 「コマースサイトをやりたいが、Zope 2とZope 3のどちらを使うべきか?」
A1 「いまならZope 2」
Q2 「Zope 3を商用で使えるのはいつ頃?」
A2 「すでにハッカーレベルでは使っているが、一般的には、来年の雪解け頃でしょうか」
発表資料:
http://new.zope.jp/event/zopeweekend/6/resources/ZW6_kashino_Z3.pdf
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講演4
「PloneをSNS風味にカスタマイズ」
鈴木たかのりさん(CSK)
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最後は鈴木たかのりさん。鈴木さんが勤めるCSKの社内で使われている、Zope / Ploneベースのイントラネット・ポータルを紹介しながら、そこで用いたPloneのカスタマイズ方法を解説していただきました。

鈴木たかのりさん
イントラネット・ポータルは、社内の一部門(500名くらい)向けのサイトとして作成。「一方通行でなく双方向に」というのが自分的なコンセプト。それをPloneベースでどうカスタマイズして作ったか、実際のコードも交えて説明するのが今日の趣旨。
*メンバー情報を充実
Ploneのデフォルトよりもメンバーの属性を増やして、mixi風の表示にする。
*コメントを掲示板っぽく
Ploneのコメント機能を使って、全アイテムを掲示板のように表示。スレッドでなくフラット表示(ネストを禁止)にして、発言が多いときは10件ずつのページ表示。
*はてな風の表示
コンテンツに http:// や isbn: などが含まれる場合、そこをアクティヴにする。

はてな風の表示
などのカスタマイズ技について、Ploneのskin内にあるページテンプレートの実際のコードを追いながら、詳細に解説。
今後の構想については、
- メンバー間リンク
- 気になる人のブログまとめ読み
- 社内ニュース、気になるブログのRSS配信
- 外部ニュースもとりこんでまとめ読み
- 社内ニュースに期限情報を追加
- 誰でも作れるコミュニティ
などもやりたい、とのことでした。
なお、コードの詳細などについては、鈴木さんご自身のサイトにある以下の発表資料をごらんください。
発表資料: http://takanory.net/plone/sns/overview/
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以上4つの講演が終了し、最後に司会の本多さんより閉会のあいさつ。会場を提供してくださった日本電子専門学校の大川先生のご紹介と、お礼のあいさつでイベントが終了。その後2次会参加者は、新宿の2次会会場へ向かいました。
ご来場いただいたみなさん、プレゼンタ&スタッフ&お手伝いいただいたみなさん、そしていつも会場を提供してくださる日本電子専門学校スタッフの方々、ありがとうございました。